共催セッション

会告 「地域に根差す地下水資源エネルギーの開発と保全」

日本地熱学会は令和5年学術講演会(岐阜大会)において,公益社団法人日本地下水学会と「地域に根差す地下水資源エネルギーの開発と保全」に関する共催セッションを開催いたします。

【共催セッションの背景】

2050年までのカーボンニュートラルの実現のため,我が国では2020年に「グリーン成長戦略」が策定され,その戦略の1つとして,2030年までに建築物の省エネ基準をZEB・ZEH(Net Zero Energy Building/House)基準の水準の省エネ性能に引き上げるなど住宅・建築物への一層の省エネ推進強化が掲げられている。そのような背景の中,国交省が公表した「住宅・建築物における省エネ対策等の在り方のとりまとめ」においても「地中熱」の利用拡大が明記されるなど,今後更なる地中熱利用への関心の高まりが期待される。

そのような中,わが国に賦存する豊富な地下水資源を活かすことのできるオープンループ型地中熱利用システムが注目される。特に帯水層蓄熱については古くより山形盆地で先行して実証事業が進められてきたほか,最近では大阪市において自治体が中心となって大規模な開発が進んでいる。また地域によってはヒートポンプシステムに必ずしも依らない地下水の熱エネルギー利用もみられる。例えば北陸地方では地下水を道路散水して融雪に用いているほか,北海道では夏季に地下水を建物内に循環させて冷房するフリークーリングが行われている。各地の温泉でも温泉水の二次利用として暖房や温室栽培,融雪など様々に地下水が利用されている。一方,こうした地下水資源のエネルギー利用を進めるには,地盤沈下や熱汚染などの地盤環境への影響管理や帯水層の地下水収支や流域全体の水循環系や生態系に対する保全の視点も欠かせない。

日本地熱学会は長年,我が国における地中熱の研究開発を先導し,その知見の蓄積や国際的ネットワークを有する。一方,日本地下水学会は様々な地域の地下水環境に関する知見やネットワークを有している。両学会の交流を強化することによって,地下水資源エネルギーの開発および保全に関する知見の集積と課題解決を図り,カーボンニュートラル実現に向けた地中熱利用の普及促進および発展に資することを目的とする。

本セッションでは,日本地下水学会からの招待講演1件および日本地熱学会からの招待講演1件,また,地下水資源エネルギーの開発と保全に関する一般講演を広く募集し,地下水熱利用の今後の発展に向けた課題について議論する。

【コンビーナ】

日本地熱学会:内田洋平(産業技術総合研究所 地質調査総合センター)
日本地下水学会:阪田義隆(金沢大学 理工研究域)

【開催日時】

令和5年11月14日(火)午後を予定

【開催場所】

じゅうろくプラザ(岐阜県岐阜市橋本町1丁目10-11,JR岐阜駅前)

【講演申込】

参加・研究発表申し込みで受け付けます。
  ※ 申込み締切は,8月25日(金)です。
  ※申込みの際,「共催セッション」を選択してください。