会長あいさつ

日本地熱学会長 藤光康宏

 2021年10月にわが国の第6次エネルギー基本計画が示されました。今回の計画では、2030年度における一次エネルギー供給の内訳を、石油等31%程度、再生可能エネルギー22~23%程度、石炭19%程度、天然ガス18%程度、原子力9~10%程度、水素・アンモニア1%程度とする目標が掲げられました。特に、電源構成比率においては、2018年の第5次エネルギー基本計画では22~24%程度であったものを36~38%程度まで引き上げるという野心的な目標になっています。再生可能エネルギーによる発電で大きく増やすものとして主に太陽光と風力が想定されていますが、地熱についても、今回の基本計画策定時点の導入量59.3万kWから政策強化により2030年度の時点で148万kWまで引き上げることが計画されています。そのため、新規地点で現在調査進行中の在来型地熱発電所の早期開発・運転開始に加え、超臨界地熱資源活用のための技術開発が計画に盛り込まれています。

 地熱の開発は目に見えない地下を対象としているため、現状の地下の理解や技術では課題も多くあります。地下に坑井を掘るには多額の費用が掛かり、いろいろな調査で地下の状態を推定しても、坑井を掘ってみると蒸気や熱水が得られず失敗に終わることもあります。したがって、地熱の開発には地下の構造や現象の理解などの科学の発展とともに、どのようにして経済的に熱水や蒸気を取り出して発電や熱水利用に用いるかなどの技術の発展も必要です。そこで、これらの科学や技術に関する知見を関係者で共有し、広く一般にも公表する学術団体として日本地熱学会が設立されました。

 日本地熱学会は1978年(昭和53年)12月に発足し、令和5年1月現在の会員数は717人で賛助会員が94社となっています。会員の専門分野も地質学、地球物理学、地球化学、地下水学、熱力学、社会科学、環境学、法制度などの学術分野の他、坑井掘削、輸送管の設置、発電機の開発、熱水利用、地中熱利用など技術分野でも多岐に渡っています。

 学会の活動としては、年4回の学会誌の発刊、年1回の学術講演会の開催、ホームページでの情報発信などを主に行っており、学術講演会時には地元住民を対象にしたタウンフォーラムも開催しています。また、日本地熱協会、一般財団法人新エネルギー財団など国内の関係機関や、国際地熱協会(International Geothermal Association)、米国地熱資源協会(Geothermal Rising:旧Geothermal Resources Council)など海外の関係機関とも連携を図り、共同でシンポジウムや情報交換会を開催するなど、国内外の地熱関係者との交流や情報共有にも努めています。これらの活動を通して、地下の構造や現象の理解促進および地熱開発や地中熱利用の発展に貢献しています。

 会員の皆様には学会活動へのご支援とご協力に感謝しますとともに、新たに会員として参加して頂ける方の入会もお待ち致しております。